ジュリー・ケントのコメント
―今回は「白鳥の湖」を踊ってくださるのですね。
「白鳥の湖」のオデット(白鳥の姫)/オディール(黒鳥の姫)は、バレリーナにとって「永遠の憧れ」であり、「試金石」のような役ですね。まず、まったく対照的な二つの役柄を踊り分けること、演じ分けることも必要ですし、テクニック的にもグラン・フェッテと呼ばれる連続32回転はもちろん、優雅な白鳥の舞い、など非常にハードです。よく、本当の白鳥が、水上では優雅に泳いでいるけれども、水面下では必死に水をかいていると言いますが、私たちダンサーも、誰にも知られないように日々の努力が必要な作品です。
―マラーホフさんは、あなたが出産で休んでいる間は、ABTでは「白鳥の湖」を踊らない、僕のパートナーはジュリーだから、とおっしゃっていたそうですね。
そうなんです。そのことを聞いたときは、何と言うかとても誇らしい気持ちになったことを思い出しました。マラーホフとはお互いに「双子のよう!」と話しているんですよ。
私はオデット姫を、最初は可憐で、はかなげな存在なのですが、王子の愛を知り、凛とした女性に成長していく、そんなふうに感じて踊っています。そういう感性がパートナーによっても、自分自身の心と向き合うことによっても研ぎ澄まされていくように感じます。
―ところで、2004年に男の子を出産なさいましたね。そのことはあなたの踊りに何か影響していますか?
そうですね。自分の内面的なことですが、「踊る」ということの喜び、「生きている」ということの喜びをより強く感じるようになりました。それから、本当の「愛」の深さを知ることができた、それが私の踊りにきっと何か影響していると思います。マルセロ・ゴメス
―あなたは、「白鳥の湖」のロットバルトと王子、両方をレパートリーとして踊っていますね。
ABTのロットバルトは、ぬめぬめとした薄気味悪い悪魔のロットバルトと、舞踏会に登場する颯爽とした貴族ロットバルトを、2人のダンサーが踊り分けます。僕は、貴族の方のロットバルトの方!
プリンシパルダンサーは王子やヒーローの役が多いので、悪役は新鮮な気持ちで踊っています。
―王子はどのように踊っていますか?
ご存知のとおり「白鳥の湖」はおとぎ話で、人間が白鳥にさせられるなど、ストーリーとしてはヘンですよね!だけれども、その心理的な部分、内面的な部分を考えていくと、今にも通じる部分があるように思います。僕はABTの「白鳥の湖」を、王子の成長ストーリーと考えています。自分の王子という立場を悟り、真実の愛を知り、運命に立ち向かっていく・・・。「白鳥の湖」は女性のバレエ、というふうに思われているかもしれないけれども、男性ダンサーにも注目です!
<ケント&ゴメスのインタビュー:2007年夏>
ジュリー・ケント&マルセロ・ゴメスの組み合わせの公演!
●『オールスター・ガラ』
7月17日(木)の≪「マノン」 パ・ド・ドゥ≫
7月18日(金)の≪「メリー・ウィドウ」 パ・ド・ドゥ≫
●『白鳥の湖』7月23日(水) 18:30
2008年07月08日
ダンサー紹介Bケント&ゴメス インタビュー
posted by JAPAN ARTS at 18:43| ダンサー紹介
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