コール・ド・バレエの美しい『白鳥の湖』は、見ているだけで嬉しくなるものです。豪華な舞台に、白鳥達が幾度となくフォーメーションを変えながらも美しい一体感を披露するABTの『白鳥の湖』を見た感想は、まさに「手応えあり」。カンパニー全体のレベルアップを実感させてくれるものでした。
更にこの日、イリーナ・ドヴォロヴェンコのオデットとジュリー・ケントのオディールのダブルキャストに変更され、思いかけず一晩で2人の女性プリンシパルが登場する贅沢さに恵まれました。イリーナは、プロローグで幕の影に登場しただけで、反応の早いNYの観客の拍手を受け、凛とした美しさをもつオデットを披露。一方いつもたおやかさを感じさせるジュリーのオディールは、王子を誘惑する美しさと冷やかさがあり、こんなジュリーもいたのかとはっとさせられる程。
ところで、ガラ公演の『白鳥の湖』といえば、黒鳥と王子のパ・ド・ドゥ等、少なくとも「スワン(白鳥/黒鳥)」の登場を期待しがちですが、5月19日のオープニングガラでは「ロットバルトのソロ」(第3幕より)のみ。この場面だけ切り取られ、なかなか『白鳥の湖』に結びつかなかった私も、全幕を観てこのソロがいかに見どころであるのかが理解できました。ABTマッケンジー版では、悪魔とイケメンの2タイプのロットバルトが登場。イケメンの方は、舞踏会の式典の最中にソロを披露し、挙句の果てに王妃の隣の椅子に腰掛けるほどの図々しさに驚かされながらも迫力ある踊りに目を奪われます。
最後に、この30日の公演では、王子役のアンヘル・コレーラが目の肥えたニューヨーカーを魅了していたのは言うまでもありません。日本公演も楽しみです。
2008年06月24日
公演レポート/「白鳥の湖」(5月30日公演)
posted by JAPAN ARTS at 15:41| レポート
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