2008年03月27日

マリインスキー国際フェスティバル 6日目

 3月19日、第8回マリインスキー国際バレエフェスティバル6日目。すでにフェスティバル期間中4回目の「白鳥の湖」に、ABTからの2人目のゲスト、アンヘル・コレーラが登場。パートナーは、つい最近ロシア功労芸術家に任命され、バレエ団のプリンシパルにも昇格したばかりの、ヴィクトリア・テリョーシキナ。

photo.jpg 開演前、劇場の売店をのぞくと、舞台上での彼ら2人のリハーサル風景を捉えた、撮り立てほやほやの写真(撮影:Valentin Baranovsky)がずらり。白鳥のグラン・アダージョや黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥを踊る2人の表情は練習とはいえ感情がこもり、鳥肌が立つほどの美しさ。写真を眺めているだけで、音楽が聴こえ、物語が紡ぎ出されているのが感じられます。フェスティバルでしか実現しない組合せ、ABTのアンヘル・コレーラと、マリインスキーのヴィクトリア・テリョーシキナ・・・売店のおばさんの「これは劇場の歴史の新しい1篇の証拠写真」という言葉が胸に響きました。リハーサル風景の他にもコレーラ1人のポートレートも数枚。6回もある「白鳥の湖」公演のなかでも、特にこの日の公演に劇場側が気合を入れているのが感じられました。

 コレーラは、とてもストレートに王子の考えていることを表現します。「今彼は何を考えているんだろう?」と観客に思わせる隙を与えず、刻々と変わる王子の複雑な心境を、逐一客席にわかりやすく伝えてくれます。その結果、お客さんは王子に対して感情移入しやすくなり、舞台により深く引き込まれCorella_photo by N.Razina.jpgていくのです。
 堂々たる立ち居振る舞いで登場した自信に満ち溢れた王子が、胸に手を当て初めて経験する恋という感情に戸惑う様子や、オディールを一目見た瞬間にオデットと勘違いし、嬉しさのあまり輝く笑顔を浮かべる様子、そして殺気すら感じられるほど燃えるオーラを発してロットバルトに対峙する様子、などなど・・・
 演技から伝えられる王子の心境のわかりやすさが、コレーラの舞台を、多くのファンをもつコレーラの舞台たらしめている一つの要因であると同時に、バレエ鑑賞経験が浅いお客さんにも親しみやすい舞台にしている要因の一つであるようにも感じられました。 そして舞台上で踊るコレーラは、とにかく生き生きしています。第2幕、黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ。ヴァリエーションやコーダで、マリインスキー劇場の舞台空間に、観る者を幸せにするあの笑顔をたたえジャンプし浮かび上がる彼の姿は、心の底から「今日ここに来てよかった・・・」とさえ思わせるほどの感動を運んでくれました。

 マリインスキーの王子様達とは一味違う、感情の豊かさ・激しさをもつコレーラ王子は、ロシアの観客にもユニークに映ったようですし、客席にはマリインスキーのダンサー達の姿も見られ、自分たちとは異なる表現方法を持つ世界的なスターの舞台へ寄せる興味関心がうかがえました。
<Photo:N.Razina>

 いまや立派なマリインスキーのプリンシパルであるテリョーシキナの素晴らしいパフォーマンスも相まって、終演後の永遠に続くかのようなカーテンコールは、舞台の感動をより一層深めるものとなりました。
20080319.jpg

レポート: チアトラールカ

posted by JAPAN ARTS at 12:05| レポート | 更新情報をチェックする

2008年03月24日

ジリアン・マーフィー サイン会

Murphy_Gillian.jpgチャコット渋谷本店 リニューアル1周年記念
アメリカン・バレエ・シアター プリンシパル
ジリアン・マーフィー サイン会 開催!

開催日時:2008年4月2日(水曜日)18:30〜(19:30終了予定)

会 場:チャコット渋谷本店 地下1階

7月の来日公演を控えるアメリカン・バレエ・シアターの新進気鋭のプリンシパル、ジリアン・マーフィーがチャコット渋谷本店に緊急来店。サイン会のほか、ABTでの近況や、7月の日本公演のことなど、トークも聞けます!ジリアンをと間近に会えるこの機会をぜひお見逃しなく!

参加方法:4月2日水曜日 先着50名さま限定
        ※当日17:30から会場にて受付を開始します
これ以前の順番待ちはお受けいたしかねますので、ご了承くださいませ。

※サインは以下のものに限定させていただきます。
@ジリアン・マーフィ出演作もしくはアメリカン・バレエ・シアター出演のDVD
Aジリアン・マーフィ掲載媒体
(以上当日お買上げ商品もしくはお手持ちの作品)
B当日チャコットでお買上げいただいた商品(シューズ類を除く)
C当日チャコットが用意する色紙

お問合せ:電話番号03-3476-1311 チャコット渋谷本店
ホームページ⇒ http://www.chacott-jp.com/j/ballet/topics0804.html
swanlake_murphy.jpg

posted by JAPAN ARTS at 13:22| イベント | 更新情報をチェックする

掲載情報

2008年5月『ダンスマガジン』
「マラーホフの贈り物」で活躍したドヴォロヴェンコが掲載されました。
dm05.jpg
posted by JAPAN ARTS at 12:37| 掲載情報 | 更新情報をチェックする

2008年03月21日

マリインスキー国際フェスティバル 4日目

 3月16日、第8回マリインスキー国際バレエフェスティバル4日目。その舞台で、ABTプリンシパル、ジリアン・マーフィーが、アンドリアン・ファジェーエフと共演。マリインスキー劇場デビュー公演「白鳥の湖」全幕を披露しました。
20080316.jpg

 彼女のオデットは、気高い白鳥の女王である前に、1人の清らかな乙女としての姿が先にたっているように見えます。繊細な感受性を持ち、全身から醸し出される雰囲気はやわらかく温かみがあるもの。しかしそこには常に、抗うことの出来ない運命に対する悲しみも強く感じられます。マーフィーは、登場の瞬間からオデットの心の細かな動きを丁寧に掬い取り、その雄弁な上半身の動きで、それを見事に表現することに成功していたと言えるでしょう。
 第1幕第2場、1点の曇りもなく王子を信頼し、彼の腕にすがるように身を委ねて踊るグラン・アダージョは、どこまでも情緒的で印象深く、この場最後の別れのシーンでは、ファジェーエフの見事な演技もあり、胸を締め付けられるような切なさを呼び起こされました。
第3幕になると、さらに悲愴感を濃くまとうようになりましたが、それに比例して、王子への抑えきれない愛情がより一層強まっていくように見えました。
murphy.jpg
Photo:N.Razina
 それに対し第2幕で宮殿の広間に現れたオディールは、王子を騙すためにロットバルトに連れて来られただけとはいうものの、王子との心の駆け引きゲームを心底楽しんでいるかのよう。手を差し出しては引っ込め、目線を合わせては反らせ、他人であるオデットの“真似”をしてみせ・・・真っ向から挑戦してくるオディールに吸い寄せられていく王子の様子が、鮮やかに描き出されました。
グラン・パ・ド・ドゥのコーダで披露される全幕を通してのテクニック的な見せ場、グラン・フェッテ・アントゥールナンは、両腕を上にあげてのダブルに、トリプルまでも交えての華やかなものでした。

全体的に見て大変興味深かったのが、彼女の上半身の動きの雄弁さ。上体の反り具合、首・腕の角度、顔の表情などが持ちうる表現手段としての可能性を、考えに考え抜いた上でフルに活用して踊っています。普段マリインスキーのダンサーで見慣れているこの「白鳥の湖」が、マーフィーと、パートナーであるファジェーエフの優れた適応能力によって新しい魅力を引き出されたように感じられ、とても嬉しいことでした。

murphy2.jpg
Photo:N.Razina

 慣れない土地、舞踊スタイルの違い、225年の伝統を誇る劇場の代名詞K.セルゲイエフ版「白鳥の湖」・・・想像しうるプレッシャーの原因は限りなくありました。実際に、リハーサル開始当初、なかなかこの舞台の床に慣れることが出来ず、大変な苦労があったそう。そのような苦労を乗り越えて、満席の劇場から送られた大きな拍手と「ブラボー」の声の中で、ほっとしたように微笑みあうマーフィーとファジェーエフの姿が、とても美しく光り輝いて見えました。

レポート: チアトラールカ

posted by JAPAN ARTS at 17:08| ニュース | 更新情報をチェックする

2008年03月07日

ダンサーの素顔

プロフィールの他に、普段では知られてない素顔をご紹介します。

PDFをダウンロードしてご覧下さい。
るんるんこちらをクリックしてダウンロードして下さい。
dancer.jpg

♪来日公式サイトも、あらすじ(シナトラ組曲とトワイラ・サープの新作)を更新しました。
posted by JAPAN ARTS at 15:29| ダンサー紹介 | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。